お引越しのシーズンです。ふわふわちゃんを忘れずに!

春に向けてお引越しなさる方も多いでしょう。

私はこれまで8回引越しをしています。

初めての引越しは、沖縄で生まれ→3歳で大阪市へのお引越しでした。

当時の沖縄はまだ日本に復帰しておらず、パスポートが必要でした。

そして、船内で二泊三日かけて大阪に着きました。

全ての荷物を持っていけるわけには行かず、ほとんどのものを捨ててきました。

捨ててきたものの中には、私にとっての決して捨てるべきでななかった宝物もありました。

母が働きに出ていたので私はずっとおばあちゃん子でした。

私はなかなかおばあちゃんから離れれれない子どもでした。

沖縄では快活だったはずの私が大阪では母子分離不安により一人で幼稚園に行けない子になりました。

年長になってさえ幼稚園バスでの通園を拒否しつづけ、祖母の送り迎えをさせました。

正確には送りと迎えではありません。

祖母は私を幼稚園まで送ったら家には帰らず、ずっと門の外に立っていたのです。

私は教室にいても祖母がいるかどうかを度々確認しました。祖母の顔が見えないとたちまち不安になり先生の声も耳に入らなくなりました。

なぜ、年長さんになってまで母子分離不安を起こしたのか?

その理由に気づいたのは、芸術による教育の会で働き出して、何度かの心理学ゼミを受けたときです。

その時の心理学ゼミの内容は、イギリスの精神分析医ドナルド・ウィニコットの「移行対象について」でした。

「移行対象」とは、乳児がいつもベッドの脇に置いているあのふわふわしたハンドタオルのようなものです。

生まれたばかりの赤ちゃんはお母さんがべったりついていますが、少しずつ離れる時間が長くなってきます。

赤ちゃんが泣いてもお母さんはすぐに対応してくれなくなってきます。

お母さんが離れている間の不安を埋め合わせてくれるのがふわふわしたハンドタオルや毛布などの「移行対象」です。

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「移行対象」は薄汚れたぬいぐるみの時もあります。

お出かけするときに、そのぬいぐるみを持っていくと不安が軽くなります。

母が洗濯でもしようものなら子どもは泣いて怒ります。

皆様の中にも覚えがある方は多いと思います。

「移行対象」は、ほっぺにつけて独特のいい匂いで自らを癒します。

むしゃくしゃするときは引っ張ったり・つねったり・押し潰したり・投げたりしても「移行対象」は我慢強く受け止めてくれます。

母でも受け止められないことを「移行対象」は受け止めてくれるのです。

そう・・私は沖縄から大阪に引っ越すときにおそらく、移行対象を捨ててきたのだと思います。

母と離れている間を埋め合わせてくれるあの愛しい親友を。

決して「移行対象」それだけではないでしょう。

家に帰ると必ずある、自分がつけた匂いや汚しの数々も全て置いてきてしまったのでしょう。

「消失」しても「再現」する。

「いないいない」と消えても・・「ばあ」と現れる。

今このとき離れていても、必ずまた会える。

移行対象を捨ててきたために、安心が消えてしまったことによる母子分離不安だったのだと思います。

春が近づき、お引越しをされる方も多いと思います。

小さなお子様のいらっしゃるお家は、ぜひあの薄汚れた他に代わりのないお子様の宝物を決して捨てることのないようにバッグに詰めてお引越しください。

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PROFILE

屋嘉部 正人
屋嘉部 正人芸術による教育の会GM
沖縄生まれの大阪育ちの千葉県野田市在住
多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
横浜美術大学絵画コース非常勤講師

大学四年生から芸術による教育の会で美術教室教師としてアルバイトを始め、大学卒業とともに同会に入社。

美術家として個展やグループ展など多数発表を続け、新制作協会に所属。

50歳を機に人生をリセット
・右利きを辞めて左利きとして生まれ変わる
・やりたくてやらなかったことを全てやる
52歳で新制作協会会員を退会
53歳でこれだけはやめられない一番好きなお酒をやめる
・芸術による教育を全国に広める伝道師として芸術による教育の会GMとなる
・「紙コップのインスタレーション」を各地で実施。