仕事のためとはいえ、性格に変えるなんて無理!
それどころか、当時の私は、大人になれない永遠の少年・ピーターパン症候群でした。
そんな無責任な大きな子どもが、子どもを預かる仕事のために大人になるのは至難の技。
性格っていうのは、遺伝的な要因の上に、生まれ育つ間にいろいろ試して成功してきた態度や姿勢・方法という衣を纏いながら定着して出来上がるものです。
・叱られて黙ってふくれていたら、母親が根負けしておやつを出してくれた。
・ぐずぐずしてたら、最後は手を貸してくれた。
・喧嘩しても絶対泣かない、絶対謝らない。その方が母親が心配し気にかけてくれた。
・姉が叱られるのを見て、「自分はそうしない」ように気をつけた。
・失敗したとき、ニコニコしてたら(泣いていたら)許してもらえた。
子どもの時からの成功体験が性格と結びついた行動として定着して行きます。
成功体験は、ほめられることや認められることとは限りません。
時に、叱られることこそが成功の場合もあります。
母が忙しい時などは、良い子でいてもほめてもらえません。かまってもらえません。
でも、ハプニングを起こすと必ず母は大声で怒鳴ってくれます。
心配してくれます。
お説教をしてくれます。
母の関心を自分に向けさせることに成功するのです。
時に、体調不良も成功体験になります。
私の母は働いていたのでいつも忙しくしていました。
それでも、病気になると仕事を休んでくれました。
リンゴをすりおろしてくれました。
なんども、優しく声をかけてくれました。
性格を作る成功体験は、必ずしもポジティブなものとは限りません。
・ほんとお前はダメなんだから!
・何度言ったらわかるんだ!
・ぐずぐずしてても終わらないでしょ!
・弟ばっかりいじめるんじゃないの!
それらみんなが、子どもにとって母の関心を自分に引き付ける成功体験となることがあります。
そしてその成功体験がフロイトの言う「防衛機制」となり、その人の欲求と社会を結ぶ行動パターンとして定着します。
防衛機制は、自分の心を防御するための鎧のようなものです。
さて、話を戻します。
私は芸術による教育の会に入社して2年目の春に、美術教室の仕事のためには、今着ている古い鎧は通用しないということに気づき始めました。
新たな環境にふさわしい新しい鎧が必要だと思いました。
新しい鎧は大人の心を持つ人が着ることのできる鎧です。
その効果は絶大であることを知っていました。
しかし、頭では理解できても、心が採用してくれませんでした。
「自分らしくない」という居心地(着心地)の悪さもあったのでしょう。
大人としての責任を背負う煩わしさ。
これまでの自分らしさを捨てるというのは、人生をリセットするということと同じです。
よほどの決断がないとできないことです。
24歳の頃の私は、その大きな転機に立っていました。
(つづく)
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PROFILE
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沖縄生まれの大阪育ちの千葉県野田市在住
多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
横浜美術大学絵画コース非常勤講師
大学四年生から芸術による教育の会で美術教室教師としてアルバイトを始め、大学卒業とともに同会に入社。
美術家として個展やグループ展など多数発表を続け、新制作協会に所属。
50歳を機に人生をリセット
・右利きを辞めて左利きとして生まれ変わる
・やりたくてやらなかったことを全てやる
52歳で新制作協会会員を退会
53歳でこれだけはやめられない一番好きなお酒をやめる
・芸術による教育を全国に広める伝道師として芸術による教育の会GMとなる
・「紙コップのインスタレーション」を各地で実施。
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