昨日のブログに書きました佐藤裕一郎先生からのお手紙を転載いたします。
裕一郎先生が本会に戻ってこられるのが先に伸びてしまったのは残念なところでもありますが、裕一郎先生の活躍は私たち芸術による教育の会教師一同の誇りでもあります。
是非、思う存分制作発表をしていただきたいと思い、遠くから応援しています。
先生方
ご無沙汰しております。
2016年まで担当教師をしておりました佐藤裕一郎です。
様々な業務でお忙しい中、失礼致します。
2016年3月より、文化庁芸術家海外研修員としてフィンランドに派遣され、会の職務から離れております。
SNSでは先生方の活躍を拝見させていただいており、活気があって、会が益々大きく発展していることを感じ、とても嬉しく思います。
一年という研修期間もあと数日で終了となります。
充実した日々を振り返りながら、暖かく送り出してくださった教室の子ども達や先生方皆様のお顔を思い出しております。
フィンランドへ到着して間も無い頃には、右も左も分からず戸惑うばかりだったのですが、多くの出会いに恵まれ、様々な経験を得て、今、この一年の成果を感じております。
これら研修で得た成果から、2017年、2018年と、フィンランド国内外で、個展・グループ展を開催することになりました。
際あたり、滞在都市であるユヴァスキュラ市のギャラリーでの個展が、4月28日から始まります。
他にも様々な可能性が広がって来ている現状であり、2017年3月13日をもって研修は修了致しますが、今後もフィンランドへの滞在を継続し、あと何年か活動を続けてみようと決意致しました。
出発前、一年後の再会を楽しみに教室の子ども達や先生方に別れを言いました。しかし、またしばらくのお別れをお伝えしなければならないこと、大変心苦しく思っております。
本来なら皆様にお会いしてご報告とご挨拶をしなければならないのですが、4月の個展まで時間がなく、一時帰国後諸々の手続きを済ませて、またフィンランドに戻る予定です。SNSのみでのご報告となりますことご容赦いただければと思います。
今後につきまして、まだ先が見えない状況ですが、ご相談させて頂きながら、決めて行きたいと考えております。
最後に、先日新聞に掲載していただきましたので、書いてもらった記事を貼ります。それと、だいたいの和訳も一緒に貼りますので見ていただけましたら、この一年でのことを少しだけお伝えできるかと思います。
初心に帰り、鍛錬のために始めた写生が、現在の作品に繋がりました。自分にとっての「描く」と言うことを再確認した1年でした。
ではまたお会いできる日を楽しみにしております。
以下、和訳
一本の線を引くたびに、フィンランドに近づくと、佐藤裕一郎氏は言う “停止する樹木” —ラウカーにて 記事 Sari Toivakka 写真 Agata Anttonen 佐藤裕一郎氏は37 歳。彼は、スタジオに座り絵を描いている。アーティストの手は、 鉛筆を握り、ゆっくりと正確な線を残す。彼は、真っ白い紙に、樹皮に覆われた白樺の 輪郭を描いていた。 木は、佐藤氏の気に入りのテーマだ。スタジオの壁を大きな白樺の風景がぐるりと巡 っている。グレーで描かれたKelo(枯れた松の木。フィンランドでは様々な用途があり、 古くから土地の文化と深く結びついている)の一枚がある。 —時々私は、美しい木を見るためだけに歩く。木は私に伝える。私は、自分が感じたま まを、紙の上に直接描きたいと思う。と、佐藤氏は言う。 佐藤氏は、鉛筆、木炭、黒鉛が作り出すグレーの色調を用い、木々や風景を描く。 —白樺の樹皮の色、白と黒のコントラストが魅力的だ。黒と白で描くこの作品は、鑑賞 者に思考と想像力の自由を与える。ヤルヴィリンナで目にした色が、私に自然にイメー ジをくれた。ここへ来るまで、私は、こんなにも色鮮やかに変化する空や水、そして、 木々を見たことがなかった。 木を神聖なものとする日本古来の精神が、私にも根付いている。このことは、私が木 をテーマに描くことに関連しているだろう。 日本では、古い木の一部が神木と呼ばれる。それは、神が宿る木を意味する。私は時々、 木に神秘性を感じる。 白樺は、フィンランドの人々のように静かに、力強く、佇んんでいる。秘められた力 強さを私は描く。 フィンランドの風景が私を変えた、と、佐藤氏は言う。 日本では、木材、金属粉、染料などを用い制作してきた。作品は抽象的であり、工場 跡や歴史的建築物への展示などを試みてきた。 私は、具象画を描く自分を想像したことがなかった。 この国へ来てしばらく、私は自分のイメージを表現することができなかった。 ある日、湖畔に立つ一本の白樺の木を見た時、私はそれが、異国に立ち止まる私自身 だと感じた。突然、夜が明けたように、描きたかった作品の、サイズ、色、構図が、は っきりと見えた。—描画について、佐藤氏は語った。 2 佐藤氏のヤルヴィリンナ滞在は、2016 年3 月に始まり、この4 月に終わる。 同行している配偶者の佐藤有為子は、児童文学作家であり、詩人である。 —ヤルヴィリンナは、アーティストにとって、制作に集中できる素晴らしい環境であ る。アーティスト達は暖かく、私は快適に過ごしていると、佐藤氏は言う。 よりたくさんのフィンランドの自然を体験したいと願い、佐藤夫妻は昨秋、ラップラ ンド、サーナヘの旅路を辿った。ガイドとして、ヤルヴィリンナに居住しているデザイ ナーのKristian Venäläinen が同行した。 自然は、私達を包んでいる。私達は、日本の風景とはまるで異なる冬の始まりの兆候 と、はっきりとした地平線を見た。 フィンランドの風景の、垂直と水平の関係は美しい。 佐藤氏は、フィンランドで3 つのギャラリーと、個展開催を契約している。 ユヴァスキュラ市 Galleria Becker 4 月~5 月、トゥルク市 Auran galleria 11 月~ 12 月、ヘルシンキ市 TM galleria 2018 年6 月。 夫妻は、日本でも芸術活動を継続しているが、フィンランド、ヤルヴィリンナに滞在 することを希望している。彼らは、在留許可の延長を申請している。 私は、この場所で描く喜びを知った。これを手放したくない。 佐藤氏は、日本で3 つの視覚芸術家グループに所属している。 —私たちの目標は、伝統的絵画である日本画の発展と普及である。 私は、これらグループに所属するアーティストとして、自身も成長をしたい。 佐藤氏は、より大きなスタジオで制作できることを希望している。今のスタジオでの 作業は、作品の長さ、高さにおいて厳しい為である。 スタジオへやって来た有為子が、時々、東京の混沌が恋しくなると言った。 —けれど、東京へ帰れば、私はヤルヴィリンナへ帰りたくなるのだと、彼女は笑った。
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PROFILE
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沖縄生まれの大阪育ちの千葉県野田市在住
多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
横浜美術大学絵画コース非常勤講師
大学四年生から芸術による教育の会で美術教室教師としてアルバイトを始め、大学卒業とともに同会に入社。
美術家として個展やグループ展など多数発表を続け、新制作協会に所属。
50歳を機に人生をリセット
・右利きを辞めて左利きとして生まれ変わる
・やりたくてやらなかったことを全てやる
52歳で新制作協会会員を退会
53歳でこれだけはやめられない一番好きなお酒をやめる
・芸術による教育を全国に広める伝道師として芸術による教育の会GMとなる
・「紙コップのインスタレーション」を各地で実施。
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