みなさん、風を描けますか?
今日は、埼玉県草加市にあるKこども園にての絵画造形指導をしました。
今日は、水彩絵の具の使い方の指導を兼ねて、「風をテーマに」で絵を描きました。
ちょうど、お部屋では風を作るマシーン扇風機が回っていました。
私:「お外の風は誰が作っているの?」
園児:「雲じゃない?」
園児:「海の波が揺らして風を作るんだよ!」
園児:「木が揺らして風を作っているのもみたことあるよ!」
自然現象についての科学的な知識がない幼児期は、自己中心的な発想をします。
自己中心的な発想とは、アニミズム的な思考のことです。
「自分もそうだから・・」という自分中心に物事を捉えます。
「風が木を揺らしている」と考えたり、「木が揺らして風を作る」と考えたりします。
それについて、「間違えた知識を正してあげなければ」と考える大人も多いでしょうが、私たち芸術による教育の会の教育では、子どもの考えを否定したりしません。
そのユニークは考えに便乗しちゃいます。
そして、「なぜ?」を繰り返し質問するのです。
そうすることで、子供達は想像力を膨らまして行くのです。
私:「いろいろな風がいるよね。どんな風を知ってる?」
園児:「台風!!すごく強いよ!」
園児:「わたし、台風嫌い。」
園児:「優しい風がいい!」
園児:「冷たい風と暖かい風」
園児:「いい匂いがする風もいる」
私:「風にも、お父さんやお母さん、子どもの風っているの?お友達とかもいるのかなあ?」
「お父さん風やお母さん風はどんなお仕事をしているんだろう?」
「子どもの風は、風の幼稚園とかに行くのかなあ?」
園児:「先生!もう描きたいよ!」
そんなやり取りの後で園児たちが描いた「風」の絵です。
まずは・・風の描き始めはこんな感じで始まりましたよ。
それぞれ、風のイメージが違って面白いでしょ!
続いて、園児たちは風との他のものとの関係を描き始めました。
風の気持ちになって対話を楽しんでいるようです。
絵の具が始まると、より心が揺さぶられるようです。
こういう目に見えないものを描くという課題は、私たち大人の方が苦手かもしれませんね。
園児の中にもなかなかイメージが描けない子供もいます。
隣や向かいに座っている友達のを参考にしながら、「わたしはこうする!」と言って少し変えるだけでいいのですが・・・
「自分のイメージは誰のものとも似ていない・・どう描いていいかわからない。」という子どもがいました。
Kちゃん:「先生!風ってどう描けばいいの?わたし描けない。」
私:「風って、目に見えないからどう描けばいいか難しいよね。」
私:「時間はたっぷりあるから、焦らないでね。運動会じゃないから早く描くのがいいんじゃないからね。考えたり悩んだりしているのはとってもいいことなんだよ。」
Kちゃんは、30分経って、みんながクレヨンでいっぱい描いている間も描き始めませんでした。
私:「まだ、どう描けばいいのかなあ・・って考えているんだね。それだけ長く考え続けるってすごいことだよ。まだ、描き始めなくても大丈夫だから安心してね。」
子供達の描く「風のイメージ」は一人一人違います。たとえ誰かの真似をしようとも、よくよくみると違うのです。
それぞれ、ちょっとした自分だけの工夫やこだわりがあるのです。
制作の終了の挨拶の前に、みんなの前でKちゃんの話をしました。
「Kちゃんは、どんな『風』を描いていいかわからず困っていました。みんながいっぱい描いている中で自分だけ思いつかずに心配でした。Kちゃんは、それでも焦らずに考えたんです。どうやって『風』を描けばいいんだろう?って。そして頑張って考え抜いて、こんな素敵な絵が仕上がりました。」
「みんな、お友達の絵を見てごらん! どのお友達もみんな違うでしょ!みんな違うからいいんだよ!」
さよならのご挨拶の後で、Kちゃんが私のところに駆け寄ってきました。
そして、「先生!今度先生にお手紙書いてくる。」と言いました。
Kちゃん、とってもうれしかったようです。
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PROFILE
-
沖縄生まれの大阪育ちの千葉県野田市在住
多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
横浜美術大学絵画コース非常勤講師
大学四年生から芸術による教育の会で美術教室教師としてアルバイトを始め、大学卒業とともに同会に入社。
美術家として個展やグループ展など多数発表を続け、新制作協会に所属。
50歳を機に人生をリセット
・右利きを辞めて左利きとして生まれ変わる
・やりたくてやらなかったことを全てやる
52歳で新制作協会会員を退会
53歳でこれだけはやめられない一番好きなお酒をやめる
・芸術による教育を全国に広める伝道師として芸術による教育の会GMとなる
・「紙コップのインスタレーション」を各地で実施。
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