「学校に行かないでいいよ」part2

Kちゃんが小学校卒業を迎える頃、Kちゃんのお母様が改まってご挨拶に来ました。

「先生、実は美術教室をやめようと思います。」

「ええ!!??」どういうことですか?突然。

私はあまりの驚きに、お母様からのその理由をただ聞いていました。

「先生のおかげで、Kは小学校に通えるようになりました。中学になると勉強が大変だし、Kは小学校を休んでいたこともあり、勉強を頑張らないといけない。今からならみんなに追いつくと思います。」

私は、その言葉に耳を疑い唖然(あぜん)としました。

そして未熟な私は、Kちゃんのお母さんに怒りを感じはじめました。

私:「お母さん!何を言っているんですか!あれだけ、Kちゃんが大変な中で、他の生徒と比較することなくゆっくりとKちゃんのペースでやって来たじゃないですか!」

私:「そして、たとえ学校に行かなくてもKちゃんは幸せに生きていく力があるということを理解してくれたじゃないですか!!何を言っているのか信じられません!!」

Kちゃんの母:「先生、でもやっぱり勉強は大事です。イイ学校に進学してほしいし、幸せに生きていくには学歴は大事です。」

私:「・・・・」「わかりました。もう何も言いません。」

私は、「今、この人に何を言っても私の言葉は入らない」と感じました。

「今後、何か心配事がございましたら、ご遠慮なくまたいらしてくださいね。」と伝えお別れしました。

それから、数ヶ月後・・

Kちゃんの同級生に・・「Kちゃんどうしてる?」と聞きました。

全然学校に来ていないとのことでした。

お母さんも、今更私に頼ることもできなかったのだと思います。

その後、教室にいらっしゃることはありませんでした。

未熟な私は、Kちゃんにもお母さんにもコンタクトを取ることができませんでした。

それから、約20年後の東日本大地震が起きた年の事です。驚きの再会がありました。

(つづく)




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PROFILE

屋嘉部 正人
屋嘉部 正人芸術による教育の会GM
沖縄生まれの大阪育ちの千葉県野田市在住
多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
横浜美術大学絵画コース非常勤講師

大学四年生から芸術による教育の会で美術教室教師としてアルバイトを始め、大学卒業とともに同会に入社。

美術家として個展やグループ展など多数発表を続け、新制作協会に所属。

50歳を機に人生をリセット
・右利きを辞めて左利きとして生まれ変わる
・やりたくてやらなかったことを全てやる
52歳で新制作協会会員を退会
53歳でこれだけはやめられない一番好きなお酒をやめる
・芸術による教育を全国に広める伝道師として芸術による教育の会GMとなる
・「紙コップのインスタレーション」を各地で実施。