美術を嫌がる子の話

こんにちは。関東圏で100箇所を越える美術教室を運営する「芸術による教育の会」ブログ担当です。
 
前回の記事「工作が子供に与える効果」に引き続き、弊社の代表であり慶應義塾大学理工学部講師も務める寺尾に、
お父さんお母さんが気になる質問をさらにインタビューしてみたいと思います。


 
今回は、芸術による教育の会のゼネラルマネージャーであり横浜美術大学絵画コース講師も務める屋嘉部も参加します!
 

■前回のお話では、工作が個性や自信を養う方法ということが良くわかりました。
しかし、絵を書くことや何かを作ることを嫌がる子はいないのでしょうか?美術教室ではどうですか?

 
寺尾:(その場にいた教師一同)たくさんいますよ〜!もちろんいっぱいいます。
 
そういった反応を示す子は、
 
皆にどう思われるかな…
上手くできなさそうだな…
自信がないなぁ…
こうやったら変におもわれるかな…
 
という考えで固まってしまっている。すると手が出せなくなってしまうんですね。
そのようなネガティブな考えが最初からなく、パパパッとこちらが何か言う前から描いたり作り始めるような子もいます。
  
 
親がしつけとして「ちゃんとやりなさい」とか、
結果を求めて常に「言うことを聞きなさい」とか、
間違ったことをしたら「ダメだ」、
ということを言っていると、そういった子は美術の際にも「どう思われるかな…」という不安な気持ちが一番最初に出てきてしまう傾向があります。
  
私たちは美術教室にいらっしゃる親御さんに、子供が何かを作ったらどんなものでも褒めてあげましょうと伝えています。
「わぁ、すごいね!」という感嘆詞からでいいんです。
 
しかししばらくすると、感嘆詞だけでは子供も信用しなくなります(笑)。
どこが良いと言ってくれないとごまかされないよ!というような反応が返ってきますので、その際は次のチャレンジに促すような言葉がけを意識してほしいのです。


 
美術教室には、一緒になって参加してくださる親御さんもいらっしゃいます。
なぜかというと、親御さんは先生たちの接し方を知りたいのです。
子供との接し方、工作の途中やできあがった作品に対してかけてあげる言葉など、教師から学べることがたくさんあるからです。
 
「すごいね!」だけでなく、教師たちがどんな言葉の表現をしているか、本当は皆さんに見ていただきたいと思っています。
親が変われば子供も変わります。見学は大歓迎です!
 

■「創作」する子供と、「選んで買う」大人

 
屋嘉部:例えば自分で良いバッグが欲しいと思ったらどうしますか?
 
インタビュアー:お店を探して買いに行きます!もしくはネットで色んなショップやレビューを見てどれにするか決めます。
 
屋嘉部:そうですよね、買いに行きますよね。良いのってどれだろうって選びますよね。
 
子供は「作る」んです。
大人になればなるほど自分では作れなくなって、品物を選ぶことに時間を使います。
「選ぶ」というのは「比較」をすることです。
 
その比較を親が子供に対し、してしまっていることがあります。
 
例えば…
「あの子のあれは良いね」とか、
「あなたもああやってみたら?」とか、
「もうちょっと頑張ってここにも色を塗ったら?」とか。
 
そのように知らず知らずのうちに比較してしまい、あっちの子は優れてるなどと言ってしまうと、その子供は美術に手が出せなくなります。
 
子供たちは見比べてもらいたいんじゃない。
子供たちなりに工夫していたり、頑張ってやっているところがあるんです。
 
そこをただ見てほしくてやっているのに、「こうやりなさい」なんて言ってしまうと、
自分でも他と比べるようになってしまい、自分が劣っている物事は避けるようになる。

 
 
本当は、子供は常に良くなろうと思っていて、成長しようとしています。
でも、世の中はわからないことだらけ。その「わからないこと」を「わかろうとしている」のが工作なのです。
 
その「探求する時間」を子供たちは楽しんでいる。映画と一緒で、先に結末(答え)を聞かされたら興味を失ってしまいますので、そういった見方で子供のものづくり、美術と接してあげてほしいと思います。
 
 
寺尾社長、屋嘉部GM、ありがとうございました!
いかがでしたでしょうか。
 
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寺尾 憲
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