こんにちは つぶつぶ先生です。
芸術による教育の会の美術教室では、幼児期には絵の描き方で、技術的な教え方をすることはありません。
なぜか。
幼児期では、描き方教える段階に入っていないからです。
幼児期には教えるよりも育てることが大切だと考えています。子供の心をそのまま表現できるような環境設定を行い、表現したくなる意欲を育てます。
では、教える時期はいつなのでしょうか。
絵を教えられるのは、絵の発達段階において図式後期に入った頃と言われています。
子供の成長を待って、いよいよ本格的な描き方を教えていけると考えています。
図式後期とは奥行きのある絵、いわゆる大人の絵です。
子供の絵は、図式前期の時期が長く続きます。
図式前期はすごく早い子で3歳くらいから一般的には年中さんの後半くらいから、小学4年生くらいまで描いている子がいます。次の図式後期に進むのは早い子で小学生に入ったくらいから平均すると小学4年生くらいといえるでしょうか。個人差がとても大きいので、一概にいつ頃と言うのは難しいです。
子供たちを見ていると、次から次へと描きたいものが頭に浮かびどんどん表現をしていたのに、描く前に考えたり、悩むようになってくる時期と図式後期に入る頃が重なります。
自然と絵を描かなくなる子が出てくるのもこの時期です。図式後期に入る前に絵を描かなくなる子がいます。(それより前に絵が嫌いになってしまう場合は、嫌いになる要因があると考えます。幼児期に表現することがもともと嫌いな子はいません。図式後期の頃に絵を描かなくなる場合は自然な成長過程です。)
一方、幼児期には絵が好きではなく、工作や立体作品を好んで作っていたような男の子が、図式後期に入ってくると、絵をしっかり学びたい・描きたいと意欲的になる事もあります。
描きたい気持ちが高まり、成長が見えてきた時に、初めて絵の描き方を教えていきます。
先生として、子供の成長としっかり技術を教えられる喜びを感じるときです。
その前に絵を教えてしまうと自分で描く力が育たなくなってしまったり、絵が嫌いになってしまうことがあると考えています。
今回は、りんごを油絵で表現する様子を紹介します。
【一週目】はりんごのデッサンです。
形と光と影を意識し立体感を陰影だけで表現します。
モチーフ(対象:りんごと周辺)をよく見て、形や立体感を感じ取ります。
モチーフを見て理解するだけではなく、平面に表現する技術が必要になります。
絵の具で描くときに絵の具の載せ方や立体感の出し方を伝える時に、デッサンの工程がとて大切になります。
【二週目】で油絵に初めてチャレンジです。
まず最初に、絵の具でデッサンを行います。
イエローオーカー(黄土色)とバーントシェンナ(焦げ茶)2つの茶色の絵の具に溶き油を多めに溶いて陰影を付けていきます。
下地の色合いに決まりはありませんが、今回は古典的な技法で指導しています。
【三週目】に油絵で厚みのある下地を付けていきます。
立体的に飛び出して見せたい部分と、遠くにぼかしておきたい部分を確認し、絵の具の厚みを利用し平面に立体感を表現していきます。
【四週目】に固有色や表面の色合いを重ねていき、完成です。
初めての油絵では、油絵の使い方と基本的な表現の仕方を学びます。
子供に油絵を教える時に注意することは、片付けまでしっかりできることです。油絵は乾きにくく、さまざまな表現ができるため、図式後期に入ったかどうかにかかわらず子供に使わせたい気持ちはあるのですが、しっかり片付けを行わないと道具がすぐにだめになってしまいます。きちんと管理できるようになるのも<図式後期に入った=成長した>頃なのではないかな、と思います。
油絵を扱えるようになると、いよいよ本格的に長い時間をかけて一枚の絵を仕上げる時期になってきます。
明日への手美術展で小学生の高学年から中学生高校生の油絵作品がならびますが、だいたい半年以上の時間をかけて制作しています。制作過程の楽しみとともに、完成に向けて試行錯誤を繰り返し一枚の絵を仕上げます。
レッスンでじっくり一枚の絵に向き合い表現する姿は、絵を学ぶ時期に到達したのだなととても感慨深いです。
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PROFILE
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橋本円(はしもとつぶら)つぶつぶ先生です。
静岡県出身:40代
美術教室の先生として20年以上経ちました。武蔵野美術大学短期大学部(があったころ)美術科卒です。大学サークルアトリエちびくろのOGです(^^)
同郷の友人がすごく楽しそう活動しているのに魅かれてサークルに入りました。自分の思い出作りとして参加させてもらいましたが、子どもって面白い!そして、一緒に楽しむことを教えてもらいました。そのまま子どもと活動することの楽しさをもっと追求したくなり、現在も活動を続けているのかなと思います。
芸術による教育の会で子どもの指導を続ける中で、アート活動は子どもにとって大切な教育であると真剣に考えるようになりました。自分の子どもの育児においても、芸術による教育の会の理念は素晴らしく、仕事をする中で得た知識がとても役に立っていると感じています。アート活動が子どもにどんな影響がありどのように大切なものなのかを、子どもに関わるすべての大人に伝えていく使命があると思っています。
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