「現存する人類最古の絵画」から子どもの絵について考える

アルタミラ洞窟やラスコー洞窟などの洞窟壁画が、「現存する人類最古の絵画」と習いましたよね。

そこでついつい誤解しちゃうのが・・

それらは、「現存している中で」の「人類最古の絵画」ということです。

ですから、人類が初めて描いた絵ではないということです。

それらの洞窟が非常に保存状態の良い環境だったため、たまたま現在まで残っただけですよね。

だから・・もっと古い絵画は当然あったわけです。

それらは風雨でさらされて跡形もなくなくなってしまったわけです。

おそらく・・土の上にできたシミのような形や足跡などを見て・・

「おい!これって○○に見えないか?」

「ええ?どこがあ?」

「ほら・・ここにこれを描き足すと・・ほら!」

「ああ!ほんとだ!見える見える!」

(まだ、言語はなかったでしょうが)

幼児が地面に棒で引っかきながら絵を描くような感じです。

すぐに消せるから気兼ねなく描けます。

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この「消える」だから「気兼ねなく描ける」というところがポイントです。

黒板には気兼ねなく落書きをして楽しめる子どもが、図工の時間の画用紙には緊張して描けない。

黒板の絵はすぐに消せる。 無かったことにできるのです。

画用紙に描く絵は、壁に飾られてみんなの目にさらされたり評価されたりします。

他の人の絵と比較されるのです。

気兼ねなく描くことなどできなくなるのです。

洞窟に残った絵画は風雨にさらされることもなく、その痕跡が何十日も何世代にもわたり残ったわけです。

その洞窟の壁は、誰でも気軽に描ける場所ではなくなり、特別な人しか描けない場所になって行ったんでしょう。

そして、そこに描く絵はその集団にとっての特別な意味(テーマ)を持つようになったんでしょうね。

幼稚園や学校の壁が洞窟の壁のようになっていませんか?

先生が決めた特別の意味(テーマ)にそって描かれています。

子ども達自身が自由にテーマを決め、思いのままの想像力が表現されていないのがとても残念です。

洞窟の壁画が集団をコントロールするための呪術的な意味を持っていたとするのなら、教室の壁も大人の思惑で子ども達の指向をコントロールする目的になっているところまで似ています。

どちらも将来への不安によるものが原因になっていると思います。

テーマそのものを子ども自身に決めさせれば、自己を表現することがもっと楽しくなるんですけどね。

大人が子どもを信じていないから、余計なレールを引いちゃうんですよ。「このレールから落ちないように描きなさい」って。

本当は、レールから外れてみたところにその子自身の光る個性があるんです。

レールから外れて見たところにある子供の表現は〈こちら

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PROFILE

屋嘉部 正人
屋嘉部 正人芸術による教育の会GM
沖縄生まれの大阪育ちの千葉県野田市在住
多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
横浜美術大学絵画コース非常勤講師

大学四年生から芸術による教育の会で美術教室教師としてアルバイトを始め、大学卒業とともに同会に入社。

美術家として個展やグループ展など多数発表を続け、新制作協会に所属。

50歳を機に人生をリセット
・右利きを辞めて左利きとして生まれ変わる
・やりたくてやらなかったことを全てやる
52歳で新制作協会会員を退会
53歳でこれだけはやめられない一番好きなお酒をやめる
・芸術による教育を全国に広める伝道師として芸術による教育の会GMとなる
・「紙コップのインスタレーション」を各地で実施。