Y・Fくんがタイにお引越ししてもうすぐ2年になります。
お引越しが決まってから「美術教室を続けたい」と言って寂しそうにしているY・Fくん
日本を離れる日が近づくにしたがい口数が減ってきました。
教室でもあまり楽しくなさそうにしています。
「仕方のないこと」として別れる準備をY・Fくんなりにしているように感じました。
「Y・Fくんのために何かできないだろうか?」
私は沖縄で生まれ、幼い頃に大阪に引っ越しをしました。
全く文化の違う土地でのストレスを実感し、何度も「沖縄に帰りたい」と泣いていたそうです。
Y・Fくんもタイの環境に慣れるまで寂しい思いをするかもしれないと思い、何か心の穴を埋めてあげられないだろうかと考えていました。
そして、ふと思いついたのが、スカイプです。
芸術による教育の会の教師は美術家ばかりです。少しでも時間があると制作をしています。
ですから、みんなが集まって会議を開くということを極力しません。グループで話し合うときはいつもスカイプを使ってミーティングをしています。
Y・Fくんのお母さんに、「美術教室のある日にスカイプでつないでタイにいても美術を続けませんか?」と提案しました。
とても喜んでくださいました。
お別れの記念写真
お引越しなさった月からスカイプでつないでの美術教室が始まりました。
毎週顔を見て話ができるだけでも嬉しいようで、レッスンの日をいつも楽しみにしてくれています。
しかし、モニター越しでの説明が難しいのと日本にある教材と同じものがタイには無かったりと少し物足りなさも感じていたと思います。
ある日のレッスン、紙コップのインスタレーションをしました。紙コップ10000個を使って教室内に積み上げていくものです。
さすがにこの課題は一緒に参加しないと面白くない課題です。楽しそうにしているのを見ているだけでは面白くありません。
Y・Fくんの表情を見て、私はいたたまれなくなってしまい、勢い余ってつい・・「Y・Fくんのところに紙コップ並べに行くよ。」と言ってしまいました。
そしてY・Fくんお母さんに、Y・Fくんの小学校に紙コップのインスタレーションをしに行きたいから校長先生に頼んで欲しいとお願いしました。
お母さんはY・Fくんのために必死に校長先生に掛け合ってくださったと思います。
翌週のレッスンの時に、お母さんは満面の笑みで、校長先生から許可を取ったことを知らせてくれました。
タイ・コンケーン市の小学校での「紙コップのインスタレーション』
生徒達からこんな素敵な手作りTシャツをプレゼントしてもらいました。
お引越しで仕方なく美術教室を辞めてしまう生徒たち、また近くに教室がない子ども達へ始めたサービス「どこでもアートforきっず」が2016年から始まりました。
今では、毎月Y・Fくんのお宅に教材を送り美術教室と同じレッスンが受けられるようになりました。
「アートに国境はない!」
Y・Fくんは、明日への手美術展に出品しました。タイから作品を送ってくれました。日本のお友達がY・Fくんの作品を見てくれました。
まさに、「芸術による教育」が日本だけでなく世界へ向けて広がりつつあります。
第59回「明日への手」美術展(草加会場)でのY・Fくん(小2)の作品
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PROFILE
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沖縄生まれの大阪育ちの千葉県野田市在住
多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
横浜美術大学絵画コース非常勤講師
大学四年生から芸術による教育の会で美術教室教師としてアルバイトを始め、大学卒業とともに同会に入社。
美術家として個展やグループ展など多数発表を続け、新制作協会に所属。
50歳を機に人生をリセット
・右利きを辞めて左利きとして生まれ変わる
・やりたくてやらなかったことを全てやる
52歳で新制作協会会員を退会
53歳でこれだけはやめられない一番好きなお酒をやめる
・芸術による教育を全国に広める伝道師として芸術による教育の会GMとなる
・「紙コップのインスタレーション」を各地で実施。
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