「わからないから楽しい」ーリンゴはなぜ赤いの?

画家にとっては「色」はとても重要な要素です。

子どもたちに「色」について説明するのはとても難しいです。

なかなか理解してもらえません。
というか、私の説明を信じてもらえません。

「なぜリンゴなは赤いのか?」

「実は、リンゴが赤いわけではありません。」

と言うと・・子ども達はみんな驚きます。

大人だって驚くでしょう。

「先生、何言ってるの!リンゴは赤いでしょ!」

人間はリンゴが反射する赤い光を見ているだけです。

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太陽光線を分解すると「赤・オレンジ・黄色・黄緑・・紫」と言うように幾つもの色が合わさって透明な光になっていますよね。

リンゴに向かった光線のうち、赤い色の光やその周辺の色の光だけが反射され、その他の色の光がリンゴに吸収されるから、私たちは「リンゴは赤い」と感じることができます。

私たちは、リンゴが反射した赤い色の光を網膜のセンサーで感知して、「リンゴは赤い」と感じているわけです。

同じようにキャンバスに描かれた絵の具の色でさえ、キャンバスに反射された可視光線が私たちの目の中に届くから、私たちは描かれた対象の色を認識できるわけです。

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画家が、絵肌とか肌理(きめ)とかマチュエルにこだわるのは、画面の表面をどのように整え如何に光を反射させるかでそのものの質感を表現しようというわけです。

画家は光を操るマジシャンと言えそうです。

私たちは美術を通して子どもたちを画家にしたいわけではないので、もっと別の角度から色について問いかけたいと思います。

では、なぜリンゴは赤い色を反射させるのか?

「リンゴは赤い色が嫌いだから」

まだ緑色をしていた頃のりんごは、「ぼく、緑色の光キライ。跳ね返しちゃおう!」

でも徐々に成長してくると・・

「なんだかぼく最近緑色の光好きなんだよね。昔好きだった赤色の光が苦手になってきたなあ。」と赤い色を跳ね返しているのかもしれません。

実ったばかりの白っぽいりんごの実が、黄緑になり、黄色味がかり、オレンジ色に、そしてだんだん赤くなり、茶色になって、最後は黒くなって土に帰る。

全てのりんごがそのようなプロセスを踏むわけは生物学的にとても重要な意味があるに違いありません。

リンゴの中身の色はほとんど変わりません。

リンゴの色が変わるのは、「リンゴの皮の色」ですよね。

外から内側に何かを取り込む時に、皮が重要な役目を持っているわけです。

「光をそのままの状態では中には通さないぞ!」と言うことです。

生物学者じゃないので分かりませんが、

リンゴの実はタネとして子孫を残すことが役目です。
リンゴは誰かに食べてもらうために甘くなるのでしょう。

リンゴの実が誰にも食べてもらえずに木の真下に落ちると、元からいたリンゴの木とそこで育った子どもの木が光の奪い合いになり子孫を繁栄できません。
だから甘くて美味しい実になって、誰かに食べてもらうことで遠い場所までタネを運んでもらいたい。

タネだけは消化されないように硬い皮で覆われ、動物の糞と一緒に地面に落ちる。動物の糞の栄養をたっぷり吸収してリンゴの木が育つ。

リンゴの皮は、外側の世界と内側の世界との受け渡しをするためにとても重要な役目をしていると言えそうです。

「不要なものを固くシャットアウトし、必要なものだけ内側に通す」と言う役目。
「動物に、酸っぱいよ・渋いよ・今は食べごろだよと色を変えて知らせる役目」

美味しい実になるように、気候とリンゴの成長に合わせてリンゴの皮が光を調整しているのでしょう。

ひょっとして植物がそうであるように、人間の皮膚の色の違いも生まれ育った気候や環境に合わせて皮膚が光を調整しているのでしょうか・・?

不思議なこと、わからないことについて、いろいろ想像を膨らますのはとても楽しいことです。

「色について」の美術による教育

光についての知識は「教えること」

なぜ、リンゴの実は色を変えるのか?「想像力を育むこと」

美術的思考は、正しい答えがわからないからこそ力を発揮します。

「わかる」→「関心が薄れる」
「わかろうとする」→「関心が続く」

「わからないからこそ魅力がある」

なんだか恋愛に似ていますね。

「リンゴはなぜ赤いんだろう?」

わからないからこそ、楽しい!

子どもたちのために、わからないでモヤモヤする時間を大切に味あわせてあげましょう!

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PROFILE

屋嘉部 正人
屋嘉部 正人芸術による教育の会GM
沖縄生まれの大阪育ちの千葉県野田市在住
多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
横浜美術大学絵画コース非常勤講師

大学四年生から芸術による教育の会で美術教室教師としてアルバイトを始め、大学卒業とともに同会に入社。

美術家として個展やグループ展など多数発表を続け、新制作協会に所属。

50歳を機に人生をリセット
・右利きを辞めて左利きとして生まれ変わる
・やりたくてやらなかったことを全てやる
52歳で新制作協会会員を退会
53歳でこれだけはやめられない一番好きなお酒をやめる
・芸術による教育を全国に広める伝道師として芸術による教育の会GMとなる
・「紙コップのインスタレーション」を各地で実施。